債権流動化のための法的整備と民法467条の再評価
---譲受人保護と債務者保護との調和---
企業の資金調達手段の多様化のために、債権流動化が要請されてきた(第1章)。この債権流動化の要請を実現するためには、確定日付通知を要求している民法の対抗要件制度(第2章)の下では困難である(同章4節)。そこで、公告制度を採用する「特定債権法」が制定された(第3章)。しかし、特定債権法の下では、債務者の認識しないところで、債務者に抗弁切断の危険を負わせることになってしまい、債務者保護に欠ける結果となる(同章4節)。そこで、第三者対抗要件と債務者対抗要件を分離し、第三者対抗要件には登記制度を採用し、債務者対抗要件には登記通知制度を採用する「債権譲渡特例法」が制定された(第4章)。しかし、債権譲渡特例法の下では、第三者対抗要件と債務者対抗要件とを分離した結果、新たな問題が生じることとなる(同章4節)。
また、債権譲渡の対抗要件制度は、物権譲渡の対抗要件制度と異なり、第三者対抗要件を二重に具備できるという性質を有していることに加え、公示機関までもが3つに分散してしまったことから、利害関係人の調査の負担が増大し、混乱が生じる可能性が高まる。そこで、3つの対抗要件制度が競合した場合の処理ついて検討する(第5章)。
最後に、インターネットにおける社会基盤が整備されてきたことから(第6章)、債務者に対して、一括して通知を送ることが可能となってきた。このことは、民法467条によっても債権流動化の要請が実現できることを意味する(第7章・第8章)。そこで、インターネット経由での、確定日付付与の方法(第9章1節・2節)と、通知の真正性(同章3節)と、通知の到達時期(同章4節)について検討する。