8.用語と資格

 介護保険制度の内容をわかりにくくしている一因として、使われている用語の煩雑さがあげられます。ここでは、
これらの用語を解説し、また介護保険にかかわる資格について述べます。

1)サービス関係の用語

 これは大きく「訪問○○」と「通所○○」の二つに分かれます。前者は要支援・要介護者の家に担当者が来て
サービスを行うもので、後者はこちらから出かけて行きサービスを受けるものです。

 (1)訪問介護(ホームヘルプサービス)
   日常の生活に支障がある介護の必要な人がいる家庭に対してホームヘルパーが派遣されるもの。ヘルパー
  は、入浴・排泄・食事などの日常生活上の世話や家事援助を行う事によって、要介護の人が健全で安らかな
  在宅生活を送ることができるよう援助すると共に、それによって家族の介護負担の軽減を図ることを目的として
  います。

 (2)訪問入浴介護
   浴槽を搭載し給湯設備を備えた入浴車などを使って家庭を訪問し、浴槽を居宅内に搬入して入浴の介護
  サービスを提供するものです。

 (3)訪問看護
   寝たきり状態にある人、あるいはこれに準ずる状態にある人、または認知症の症状のある人に対して、
  主治医の判断に基づいて、訪問看護ステーションや医療機関の看護師が訪問して療養上の世話や診療の
  補助を行います。

 (4)訪問リハビリテーション
   障害のある人に対して、主治医の判断に基づいて、理学療法士や作業療法士が居宅に出向いて、
  心身機能の維持回復・日常生活の自立援助のためにリハビリテーションやその指導を行うものです。

 (5)デイサービス(通所介護)
   在宅で療養中の人や心身に障害のある人を、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や老人デイ
  サービスセンターに送迎して、入浴や食事の提供などの日常生活上の世話や機能訓練を行い、心身
  機能の維持と改善を図るとともに、介護者の負担を軽減することを目的としています。

 (6)デイケア(通所リハビリテーション)
   在宅の寝たきりや心身に障害のある人が、主治医の判断に基づいて、介護老施設)や医療機関に
  送迎を受けて通い、心身機能の維持回復や日常生活の自立援助のための理学療法や作業療法等
  のリハビリテーションや食事、入浴などのサービスを受けるものです。

2)利用方法に関する用語

 一般的な介護保険の利用方法とは異なるものとして以下の用語があります。

 (1)ショートステイ(短期入所生活介護)
   寝たきりや痴呆症(認知症)の高齢者などを介護している家族の人が、病気、冠婚葬祭、旅行、介護疲れ
  などの理由で、一時的に介護が出来なくなった時、老人ホームなどでお世話をすること、介護家族の負担の
  軽減を図り、高齢者や家族の福祉の向上を図ることが目的です。

 (2)ショートケア(短期入所療養介護)
   短期入所生活介護(ショートステイ)の介護老人保健施設(老人保健施設)或いは介護療養型 医療施設版。
  寝たきりや認知症の高齢者などを介護している家族の人が、病気、冠婚葬祭、旅行、介護疲れなどの理由で、
  一時的に介護が出来なくなった時、介護老人保健施設(老人保健施設)或いは介護療養型医療施設などで
  お世話をすることによって、介護家族の負担の軽減を図り、高齢者や家族の福祉の向上を図ることを目的と
  しています。

3)入所施設に関する用語

 介護保険施設などの入所施設については5.介護施設の項を参考にしてください。
ここでは最近増えている要支援・要介護者などのその他の施設について説明します。

 (1)グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
   比較的安定した認知症の状態である要介護の人達が、入浴・排泄・食事などの介護やその他の日常生活上
  の世話や機能訓練を受けながら共同生活を営む住居です。

 (2)ケアハウス(軽費老人ホーム)
   身体機能の低下や高齢などのため、独立して生活するには不安が認められ、かつ家族による援助を受ける
  ことが困難な60歳以上(夫婦の場合はどちらかが60歳以上)の人が対象の施設で、給食(食事)、入浴、健康
  管理、生活相談や助言、緊急時の対応などのサービスが受けられます。
   また、ホームヘルパーが食事や入浴を手伝い、自立した生活を続けることができるよう工夫された軽費
  老人ホームもあり、全室が個室化されていること、車椅子の利用が可能であることなど、プライバシーや
  自立した生活を尊重した構造や、設備の面での工夫がなされた施設もあります。

  (3)有料老人ホーム
   食事の提供その他の日常生活上必要なサービスを供与することを目的とし、10人以上の高齢者が有料で
  入所している施設で、老人福祉施設でないものをいいます。

 

図19.介護タクシー(福祉ネットワーク さくらHP より)

 

4)資格に関する用語

 介護に関しては次に挙げるような種々の資格があります。

 (1)ホームヘルパー2級
   在宅の高齢者や障害者を訪問して、調理などの家事や身体の介護など生活全般のサービスをする資格。
  福祉サービス、介護サービスの基本知識からなる「講義」と「実技講習」、「実習」などの履修130時間が必要。
  民間機関で8-10万円の費用がかかります。

 (2)ホームヘルパー1級
   ヘルパー2級として実務経験1年で、主任ヘルパーなどが取る資格で、チームケア、チームワークなどの
  「講義」と「実技講習」と「実習」などの履修230時間が必要とされます。民間機関で17-20万円の費用が見込
  まれます。

  ☆ホームヘルパーを将来的に介護福祉士資格取得者を基本にする方針で、そのレベルアップを目的として、
   研修時間を現在の2級130時間、1級230時間から新たに介護職員基礎研修(仮称)400〜500時間とすること
   が予定されています。

 (3)ガイドヘルパー
   移動介護従事者のことで、外出時の移動介護サービスを提供する。試験はなく、都道府県や政令指定都市が
  指定するガイドヘルパー養成研修を修了すれば取得できます。

 (4)介護福祉士
   ホームヘルパー1級での実務経験2年(通算3年)で、介護福祉に関する知識と技術を持ち、要介護者に対し
  入浴や食事などの介護を行い、本人やその介護者に対し、介護に関する指導などを行う専門職です。

 (5)福祉住環境コーディネーター
   高齢者が在宅で暮らすために、手すりやトイレ、浴室や寝室などの住環境の整備についての的確なアドバイ
  スや、リフォームプランの提案を行う資格で、3〜1級に分かれています。「バリアフリーリフォーム」に
  は介護保険から20万円までの負担があります。

 (6)ケアマネージャー(介護支援専門員)
   要介護者などからの相談に応じ、その希望や心身の状況から適切な在宅または施設のサ ービスが利用できる
  ように市町村や居宅介護サービス事業者、介護保険施設等との連絡調整を行う のがケアマネージャー(介護支
  援専門員)の役割で (図20)、厚生省令で定められた資格です。ホームヘルパー・介護福祉士として実務経験
  通算5年以上で受ける資格があり、合格率は3〜4割程度です。利用する介護サービスの種類、内容やその
  担当者などを決めた計画をケアプラン(介護サービス計画)といいます。居宅介護支援事業者(ケアプラン作成
  機関)などで作られることが一般的ですが、要介護者や家族等でも作成が可能です。この場合には、市区町村
  などの保険者に作成されたケアプランについての承認を得ることが必要となります。

図20.ケアマネージャーの役割の模式図

                                                                                                                                                         (こうべ市民福祉振興組合HP より)



☆ここで平成17年10月から施行された改正介護保険法のケアマネジャーに対する影響について述べます。

   初めて認定調査を受ける場合は、改正前は、ケアマネジャーや介護保健施設への委託が可能でしたが、
  改正法では、原則として市区町村が認定調査を実施することに改められました。
   介護予防サービスの対象者、つまり要支援1・2の人に対するプラン作成は地域包括支援センター(6.介
護保険事業の項参照)の保健師などが担当することになりました(図21)。これまでは居宅介護支援費が、月
あたり1件8,500円から4,000円に減額されました。しかも厚生労働省は「ケアマネージャー一人当たり35 件
程度を標準とする」としてい ます。予防プランは2分の1件で計算し、上限は8件であるため多くても月の担当
件数は39で、どうしても介護度の高い方(要介護1・2で月10,000 円、要介護3・4・5で月13,000円)にシフト
せざるを得なくなっています。しかし、40件以上になるとそれぞれ6,000円、7,800円となり、60件以上では
4,000円、5,200円と急降下する仕組みとなっており、このため、ケアマネジャーは介護予防は一切手がけな
いという懸念も あります。さらに、ケアマネジャーの資格は5年ごとに更新になり、定期的な研修の受講も
義務付けられるようになりました。


 

図21.ケアプラン設定方法の変更



 ☆ケアプランの作成方法
 ケアプラン作成は必ず義務付けられている訳ではなく、作成しなくても介護サービスは受けられます。
ただし、介護サービスにかかった費用は一時的に、全額、個人負担となります。 ケアプランを作成する
には3通りあります(図22)。

図22.ケアプランの作成方法

(図21,22とも介護助け合いHP あったかタウン より)

1)在宅介護支援事業者に依頼
  介護支援専門員(ケアマネジャー)が希望をふまえて作成します(費用はかかりません)。
 ケアマネジャーが市区町村の担当窓口へ「居宅サービス計画作成依頼届出書」を提出します。

 (1)まず指定居宅介護支援事業者(一覧は、市区町村の申請受付窓口にあります)を選びます。
 

 (2)指定居宅介護支援事業者に連絡すると、ケアマネジャーがお話をうかがいに行きます。
   @本人の状況把握:今何に困っているか ・・・心身の状態 、今の環境(地域・家庭・家族)、
    現在活用しているサービス
   A本人の対処:問題点を整理・調査・・・自力でできることは何か 、自力でできないは何か 、
     衣・食・住の詳細調査
   B本人の希望:課題の克服・・・今一番の悩み 、生活の質の向上など。
 

 (3)どのサービスを、どのように組み合わせるのか、ケアプランを作成します。
    ケアマネジャーとの、ケアプラン原案作成
    本人や家族がケアマネジャーとともに内容の検討・協議
    本人や家族がケアプランについて、承認・了解
 

 (4)ケアプランの完成後
  @介護サービス事業者に連絡(ケアマネジャーが連絡・調整をします)
  A市区町村に届出(自己作成の場合)
 

 (5)サービスの開始・・・サービス開始後も連絡・調整はケアマネジャーに! 良い介護サービスを
    受けるためには、コミュニケーションが大切です。

2)施設での作成
   施設サービスを利用する方のケアプランは、その施設で作成しますので、 作成依頼と市区町村への
   届け出の必要はありません。
  ・自宅など、居宅での介護ではなく、施設に入所することを決めたら、プラン作成より
   先に入所施設を選び、入所契約する事の方を優先するのが特徴です。
  ・介護保険が適用される施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設の
  ・施設に入所した場合、施設ごとにケアマネジャーの配置と、ケアプランの作成が義務づけら
   れていますので心配いりません。
  ・施設でのケアプランは、在宅でのケアプランとほとんど変りません。常に自宅への復帰を考慮に
    いれた目標が設定されます。

3)自分で作成
  ·作成したケアプランを必ず市区町村に届け出なければなりません(届け出のない場合、「作成して
  いない」とみなされます)。各事業者への連絡・調整なども自分たちの手で行います。
  ·要介護認定の通知書には、判定の際の理由や介護認定審査会の意見が付されている場合が
  あります。そうした専門家の意見を参照し、心身の状況を正確に判断し、必要とするサービスの
  具体的計画を立ててください。
  ·特別な医療が必要な場合、主治医から診断書をもらいましょう。
  ·実際に介護サービスを利用するときは、各事業者への連絡・調整についても、全て利用者(自分・家族)
  でする必要があります。
  ·受けるサービスの契約は、各サービス提供事業者ごとに行います。



ケアプランの例(図23、図24)


 

図23.ケアプラン(サービス提供票)



図24.ケアプラン(図23の楕円枠拡大図)

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